今年の夏も
高原で渓流釣りをして過ごしました。
渓流とは何なの?
渓流釣りってどんな世界?
日常から離れて体験したことが
新たな気づきになることもあると思います。
渓流釣り世界への行き方と
感じたことを書いてみました。
- 渓流とは
渓流は海から蒸散した水蒸気が
降雨や降雪となって山に注ぎ、
地中から湧き出した水の流れが少しずつ大きくなって岩や石を動かし、
瀬や淵を作って渓流となります。渓流最上部には冷水域を好む岩魚が
中間地帯には山女魚や
鰍(カジカ)
そして鮎やハヤが生息しています。
天候に左右される厳しい環境下、
渓流の中で彼らは一所懸命に生きています。
またそこにいる他の生物も同じです。 - 渓流への行き方
日本は、山、海、平野部に恵まれ、
豊かな四季にも恵まれています。交通網が発達していて
様々なアウトドアフィールドに
簡単にアクセスできる。今回は電車と路線バス4時間程で
標高600mの福島県南会津に行きました。盛夏でも明け方は毛布が要る気候で
お盆が過ぎると秋の気配が漂います。渓流の最上部は源流釣りとも言われ
ヘルメットやロープ等の装備と
登坂技術を要します。サルやクマの世界でもあり、
単独行動は避けるエリアです。私は単独で釣りをするので、
リスクが少ない民家の点在する人里を流れる
本流で渓流釣りをします。本流は川幅が広く流量は多く、
他の釣り人の影響を受けにくい
と言われています。流量の少ない上流部や支流は
ポイントが限られて釣りやすいのですが先行者がいると魚はおびえて隠れてしまい、
他の釣人を意識するストレスが生じます。毎日、せせらぎの音を聞きながら、
俗事を忘れて釣りをしていました。 - 準備とリスクマネジメント
渓流釣りには、
渓流用のフェルト+スパイク付のシューズ、
ウェーダー(ウェットスーツ状のタイツ)、
渓流竿、仕掛け、魚を取り込む玉網等が必要です。彼らは眼が良いので、仕掛けは繊細です。
糸は0.1号(0.05mm程度)、針は3号を使い、
針と糸は自分で結びます。老眼との闘いです。自分で作った仕掛けが切れたり、
針が取れたりすれば、
自己責任なので納得します。綺麗な渓流にはアブやブヨがいて
虫の攻撃は受けっぱなしになります。
長袖が必要で、手袋もあった方がいいです。
防虫ネットを被らざるを得ない時もあります。写真では片足にメジロアブが5匹とまってます
ウェーダーの上からなら大丈夫ですが…ずっとこんな感じです。
さらに、ゴツゴツした岩、コケで滑る岩、
川の中を歩く技術と基礎体力が必要です。水の力はとても強く、膝下までが
渡渉できる限界となります。渓流は透明度が高く、見た目よりも深いので
川を渡る場合、慎重さが必要です。渡渉時は、釣り道具はすべてしまい、
下流に木を杖代わりについて渡ると
比較的安全です。もし、流されたら…
岩への激突、淵に引きずり込まれる、
ウェーダーに水が入り顔が上げられなくなる
可能性があります。降雨後の渓流は水量も増すため危険です。
上流の天気に注意して、川の水が濁ってきたら
退散します。不幸な事故は毎年あります。
- 渓流魚との対面
山女魚は流れが速い瀬の流心で
岩魚は流れの脇の石の下から
鰍は流れの穏やかな石の下に生息して餌をとっています。
渓流釣りは彼らが待つポイントへ、
餌の川虫(カゲロウの幼虫;胴体5mm)を
針を通して、できるだけ自然な状態で
仕掛けと共に流します。ただし、同じ魚とは一期一会。
魚信(アタリ)があっても
その時に掛けられなければ、怪しまれて、
次は来ない。うまく仕掛けが流れに乗って
山女魚の給餌ポイントに達して山女魚が怪しまずにアタックしてくれたら…
出会いがスタート!目印の動きを感じて合わせると
彼らの猛烈な抵抗が竿から伝わってくる。必死に潜る動きを、竿を立てて、
細い糸の仕掛けなので切られないかと
ヒヤヒヤしながら…食い止めます。山女魚は最初の抵抗をしのぎが大切。
次に、一大事だと悟った彼らは、
流れに乗って逃げようとします。下流に走る山女魚を、河原を走って追いかけ
なんとかこらえれば、手元へ誘導できれば、
玉網に取り込むことは可能だ。細い仕掛けは、柔らかい竿が支えて、
はじめて力を発揮する。
走る山女魚が速く、竿と仕掛けが伸びると
あっという間に、糸は切れる。うまく引き寄せられても、
玉網を見た彼らは、また猛然と走り出す。過去の数えきれない、散々の失敗の上に
身についた行動を、今年も試行錯誤する。幸運にも今年も美しい山女魚に会えた。
小さな山女魚は散々出てきて
皆しっかり針を飲み込んでくれたけど、
全て針を外してあげて、リリースできた。 - 渓流釣りから持って帰るもの
渓流釣りは夏休みの時だけしかしない。
結構、大変だけど、毎年通っている。
なぜだろう。綺麗な水と遊ぶのが好きなこと
魚や昆虫、その他の生物が好きなこと
心の奥底にある好きな遊びを引っ張り出して
それに没頭することで元気になることだと思った。
渓流とそこに生息する魚の躍動感
周辺に生息する多くの生物の営みミネラル分を吸うペアのミヤマカラスアゲハ
目の前にいたミヤマクワガタ
河原を飛ぶカワガラス
吹き抜ける涼風と遠く望む夏雲これら全部から
エネルギー(元気)を戴いていると思った。山女魚の塩焼きを戴くことや
鰍酒を戴くことはこれから控えようと思った。
民宿で十分な食事を戴いているのだから。
欲望の世界を手放した方が、心が軽くなると
思った。生きている山女魚の美しさ、ファイトの素晴らしさ、
急流の石の間に張り付いていた鰍必死に渓流で頑張っている彼らを尊重して
それを伝えていくことで彼らから戴い元気を無駄にしないと思う。
と考えながら戻りました。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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